「立川からはじめる未来」 2: はじめまして(1) 展覧会を作る

つぼくは1972年生まれの47歳です。24歳で働き始めてからずっと、日本のあちこちの美術館といっしょに、展覧会を開催する仕事をしてきました。最初の18年間は朝日新聞社の文化事業部に所属し、2015年に独立してブルーシープを作って以降、活動の範囲や交友関係を広げてきました。

自分が企画したものではなく、プロジェクトチームの一員として関わったものも含めれば、100以上の展覧会に関わり、その来場者数は1000万人を超えます。ほんと?と思いますが、数えてみたので本当です。来場者が一番多かったのは、「スヌーピーミュージアム」(2016-19年)の136万人、次いでフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を東京と神戸で展示した「マウリッツハイス美術館展」(2012-13年)の118万人。国立博物館、区立美術館、デパートの催事場、ギャラリーや倉庫、寺社の現地公開まで、さまざまな会場が舞台となりました。

美術館に所属するわけではないので、ジャンルも多様です。エジプトの考古学、西洋絵画、日本美術、写真、デザイン、絵本、アニメーション、漫画、さまざまなジャンルに関わってきました。中でも思い出深いのは、65周年展が始まったばかりのオランダの絵本「ミッフィー」(うさこちゃん)。その50周年を記念する「ミッフィー展」(2005-2006)が、自分で企画をした初めての展覧会でした。もう一つ、「つみきのいえ」で知られるアニメーション作家・加藤久仁生さんの展覧会(2012-2014年)は、アーティストが新作を準備し披露するという得難い機会でした。近年では『夜の木』で知られるインドの出版社「タラブックス」を紹介する展覧会(2017-2019)、フィンランドの知られざるセラミック・アーティストの日本初個展「ルート・ブリュック展」(2019-2020年)。

展覧会を作る際に一貫して心がけているのは、自分を来場者の代表に置き換えることです。作品の展示順、展示する高さや背景の壁紙の色、解説のボリュームや深度、それに映像や造作などの補助線。何が必要なのか、一般の目線で考えるのは、自分がアートの専門家ではないからです。空間の中で何を見て感じ取ってもらいたいのか、ひたすらに考え続けることで、「ありそうでない」場が生まれます。

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