PLAY!

2020年6月、東京・立川の新街区「GREEN SPRINGS」内にオープンした美術館と子どもの遊び場を中心とする複合文化施設です。「ありそうでない」場所をつくるため、PLAY!が目指すもの、活動が拡張するプロセスや断片を、プロデューサーの草刈大介が、短い文章でたくさん書きます。

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2020年6月、東京・立川の新街区「GREEN SPRINGS」内にオープンした美術館と子どもの遊び場を中心とする複合文化施設です。「ありそうでない」場所をつくるため、PLAY!が目指すもの、活動が拡張するプロセスや断片を、プロデューサーの草刈大介が、短い文章でたくさん書きます。

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    「立川からはじめる未来」 1: 続いていく場所を作る。

    はじめまして、立川のPLAY! でプロデューサーを務める、草刈大介です。ブルーシープという、美術館や展覧会を作ったり、本を出版する会社の代表です。 6月10日に、2ヶ月遅れでPLAY! MUSEUMがオープンしてから、約2ヶ月が経ちました。コロナウイルスの影響に、異例ともいえる長い梅雨が加わり、残念ながら期待通りには客足が伸びていません。それでも、多摩や23区(なぜか杉並区が多い)、神奈川や埼玉からも足を運んでくださり、会場内のあちこちに笑顔が花咲いています。「ありそうでな

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      • 「立川からはじめる未来」 15:日本博物館協会・博物館活動特別奨励賞受賞、その全文

        恐竜の研究で名高い国立科学博物館の真鍋真さんは、バージニア・リー・バートンの名作絵本『せいめいのれきし』の改訂を監修するなど、興味や活動領域の広い方で、お人柄は輪をかけて素敵です。そんな真鍋さんが先頃PLAY!に来られて、「令和3年日本博物館協会博物館活動特別奨励賞」受賞の知らせを伝えてくださいました。 この賞は、日本博物館協会が昭和3年から発行を続ける由緒正しい月刊誌『博物館研究』に掲載された1年間の論考の中から、毎年3-4件が受賞するものです。真鍋さんは日本博物館協

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        • 「立川からはじめる未来」 14: 展覧会は足し算ではなく、引き算で。

          何ヶ月かぶりで13を投稿します。あれこれ忙しなく、好評だった「アーノルド・ローベル展」でのこと、「酒井駒子展」の制作、「ぐりとぐら」をめぐるあれこれ、武蔵美とのプロジェクトの行方、根付いてきたPARKの取り組みなどなど、たくさんのプロセスを書き損なってしまいました。情報には鮮度がある。いいものを作っても、伝えてはじめて意味がある。反省しながら今の問題意識のひとつを書きとめておきたいと思います。 「展覧会は引き算で」。 展覧会の中心は作品で、そこに解説や資料、映像、音楽

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          • 「立川からはじめる未来」 13: 2021年は、2020年とは違うはず。

            新年あけましておめでとうございます。 PLAY! MUSEUMでの2つめの企画展「アーノルド・ローベル展」が、昨日無事に始まりました。「がまくんとかえるくん」シリーズの作者、アメリカ人の絵本作家アーノルド・ローベルが残した絵と物語をたっぷりと紹介する展覧会です。このような状況にありながらも、朝から熱心なお客さまが多く足を運んでくださいました。みどころたくさんの展覧会については追って紹介するとして、今回、緊急事態宣言発出直後のオープンとなったことについて、少しだけ補足します

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            「立川からはじめる未来」 12: みんなハッピーになる武蔵美との共同プログラムは、「PLAY! と経済」。

            さまざまなクリエイターを輩出している武蔵野美術大学、通称武蔵美(ムサビ)。所在地はぼくが住む東京都の小平市ですが、PLAY! から北東に車で10-15分くらいのご近所さんです。その武蔵美と一緒に、来年1月から課外プログラムを実施することが決まり、今日から学生の募集を開始しました。プログラム名は「PLAY! と経済」。 アートディレクターの菊地敦己さん、tupera tuperaの亀山達矢さん、「かおてん.」のグラフィックを担当したminnaのおふたり、映像を手がけたCeka

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            「立川からはじめる未来」 11: 立川市の一員になる。

            10月22日、PLAY! と立川市が、相互協力に関する協定を締結しました。市民向けの鑑賞講座などを開催するほか、より気軽に利用してもらうためにお得な「立川割」を11月2日からスタートさせます。ふうん、と思うかもしれませんが、これは画期的なことです。「ファーレ立川」をはじめ、かねてよりアートをキーワードに街づくりを進めてきた立川市が、生まれたてのPLAY! を仲間と認めてくれて、一緒に取り組んでゆくことになったのですから。 この締結に尽力してくださったのは、立川市の産業文

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            「立川からはじめる未来」 10: 合言葉「ありそうでない」は、ジャンプではなくて背伸びで

            ずいぶん間が空きました。5回に分けて、自分が経験した仕事や考え方を紹介してきました。その上で、PLAY! がどんな場所を目指しているのかについて、お話をしていきたいと思います。 「ありそうでないこと」。 PLAY! のプロジェクト立ち上げ時から掲げている合言葉です。これはぼくが大切にしている言葉で、PLAY! でない場面でもしばしば言っています。「ありそうなこと」は世の中にたくさんあります。すでに成功したものをなぞれば、事業主や消費者にも安心感が広がります。けれど「ありそ

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            「立川からはじめる未来」 9: はじめまして(5) 今やるべきことを今やらずしてどうする?

            オープンして明日で3ヶ月になります。PLAY! では日々、いろいろなことを進めています。 8月下旬、研修の一環として八王子と日野の小学校の先生方の協力を得てヒヤリング調査を行い、来場者の属性、展示やサービスに対する満足度や要望を整理しました。MUSEUMではスタッフの研修、1月からのアーノルド・ローベル展、4月からの常設展と企画展の準備を進めています。SHOPやCAFEでも新商品の開発が本格化して、PARKでは今月土曜日からいよいよ大型遊具「バルーンモンスター」が登場します。

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            「立川からはじめる未来」 8: はじめまして(4) 7千人と75万人、2つの展覧会を通してわかったこと

            2012年に「加藤久仁生展」と「マウリッツハイス美術館展」という2つのすばらしい展覧会を担当し、そのことが3年後に会社を離れるきっかけとなりました。 アーツ&クラフツ展での失敗を挽回しようと、新規企画をがむしゃらに増やしていました。大型展も担当しましたが、なんとなく迷いもあり、中規模の企画から出直そう、という気持ちでした。2005年に企画したミッフィー展が呼び水となり、エリック・カールなどの絵本展や、漫画・アニメ「ベルサイユのばら」など、それまで展覧会としては扱われてこなか

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            「立川からはじめる未来」7: はじめまして(3) 考え抜いても失敗する

            PLAY! の話をしていくために、ぼくの体験とそこで学んだ考え方について、もう少し知っていただいたほうがよいかと思いました。そこでもう2回、プロフィール紹介を続けたいと思います。 2005年に担当した二つの展覧会は事業として成功し、自身の経験としても実りあるものとなりました。この後、東京国立博物館での「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」(2007年)、東京都美術館での「ルーヴル美術館展」(2008年)などの大型展を担当し、手に入れた経験をもとに思い描いた成果を上げることができまし

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            「立川からはじめる未来」 6: はじめまして(2) 素人の代表と、クリエイターのこと

            再び自己紹介を。アートの専門家ではないと書きました。大学は法学部で外交史を、その後国連で働きたいと思い立って大学院で国際社会学を学びました。旧ユーゴスラビアやルワンダで民族紛争が勃発し、日本でも国際協力のあり方をめぐって議論が始まった頃です。 大学院を卒業して、新聞社でアートに関わる仕事につきました(なぜこの仕事をはじめたかを「ほぼ日」で振り返ったので参考まで)。けれどもそれまで、美術館や展覧会に足繁く通っていたわけではありません。大学4年の春から半年間、授業をサボって北米

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            「立川からはじめる未来」 5: PLAY! に形を(2) 文字を菊地さんに

            アートディレクターの菊地敦己さんは、青森県立美術館のヴィジュアル・アイデンティティ(VI)とサイン計画がよく知られています。美術館専用の和欧書体を設計し、ロゴタイプや館内のサインに活用し明確なアイデンティティを生み出しました。いつ見てもほれぼれする仕事です。 菊地さんとは面識はありましたが、じっくり仕事をしたのは、2017年の「シンプルの正体 ディック・ブルーナ」展のときが初めてでした。2005年から5年おきに「ミッフィー展」を企画してきたのですが、その時のお題は「ミッフィ

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            「立川からはじめる未来」 4: PLAY! に形を(1) インテリアは手塚さんに

            昨晩、PLAY! のアートディレクターの菊地敦己さん(銀座のギャラリーG8で、第22回亀倉雄策賞受賞記念展 菊地敦己 2020開催中、9/2まで)に、「note読んだけど短いね」と指摘されましたので、もう少し長く書くことにします(水増しせず)。 東京・立川に、ミュージアムと子どもの屋内遊び場を核とする、新しい複合施設をつくる。大人から子どもまでが「遊び」を取り戻す。こうした価値観を示すために「PLAY!」という名前を決めました。 この概念に、どんな姿や形を与えるかが次の作

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            「立川からはじめる未来」 3: なぜPLAY! なのか

            「なぜPLAY! という名前にしたんですか?」という質問は、オープンしたあと、ほとんど聞かれなくなりました。MUSEUMの見え方やPARKのプログラムが、言葉のイメージに重って見えているからだと思います。 施設名は大事な決定事項です。ネーミングの考え方は二つあって、「わかりやすい」か「なんだかよくわからない」かのどちらか。例えば「絵本美術館」「キッズパーク」などの名称を掲げれば、新しい場所の内容を想起しやすくお客さんを呼びやすい。けれど来場者を特定してしまうので、閉じた印象

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            「立川からはじめる未来」 2: はじめまして(1) 展覧会を作る

            つぼくは1972年生まれの47歳です。24歳で働き始めてからずっと、日本のあちこちの美術館といっしょに、展覧会を開催する仕事をしてきました。最初の18年間は朝日新聞社の文化事業部に所属し、2015年に独立してブルーシープを作って以降、活動の範囲や交友関係を広げてきました。 自分が企画したものではなく、プロジェクトチームの一員として関わったものも含めれば、100以上の展覧会に関わり、その来場者数は1000万人を超えます。ほんと?と思いますが、数えてみたので本当です。来場者が一

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