「立川からはじめる未来」 11: 立川市の一員になる。
10月22日、PLAY! と立川市が、相互協力に関する協定を締結しました。市民向けの鑑賞講座などを開催するほか、より気軽に利用してもらうためにお得な「立川割」を11月2日からスタートさせます。ふうん、と思うかもしれませんが、これは画期的なことです。「ファーレ立川」をはじめ、かねてよりアートをキーワードに街づくりを進めてきた立川市が、生まれたてのPLAY! を仲間と認めてくれて、一緒に取り組んでゆくことになったのですから。
この締結に尽力してくださったのは、立川市の産業文化スポーツ部・産業観光課を中心とするみなさんです。PLAY! がオープンする前から、幼稚園・保育園、小中学校、図書館などとの連携を模索し、さまざまな部署を訪ねては、どんなことを考えているかを説明してきました。印象的だったのは、市役所の誰もが、姿の見えない段階からPLAY! に興味を持って話を聞いてくれたこと。そしてコロナ禍でオープンすると、何人もの職員の方が、時にはご家族を伴って遊びにきて、感想を聞かせてくれました。
清々しいな、と思いました。そんな方々だから、相互協力の仕組みを構築できないか、と申し込みました。目算があったというより、自然に話をしてみようと思いました。その結果、8月に相談を始めてから一度も停滞することなくプログラムや契約書ができあがり、あっという間に調印の運びとなりました。これこそ、ありそうでないことだと思います。
PLAY! は、民間ならではの素早い意思決定と自由な活動が持ち味です。一方行政には、市の全域におよぶネットワークと、誰もが安心できる信用基盤があります。この両者を掛け合わせることで、PLAY! にも立川市にも、そして利用者にもうれしい取り組みができます。意味なく「やってる感」を出したり、誰かに言われてなんとなくやるのではなく、本当に必要なことだけをやれると確信を深めています。
「生まれて初めてこんな楽しい体験をしました」
調印後、開口一番、清水庄平市長がおっしゃいました。PARK、MUSEUMを足早に巡りながら、あちこちで楽しいね、楽しいね、とつぶやいておられ、ご自身でも楽しんでいただきました。
一方でPLAY! のリーダー、脇谷哲朗も「これで立川市の一員になった」と胸を張りました。はじまりはこれからです。11月には「立川割」がスタートし、各部署と具体的な展開を市役所で打ち合わせます。
「ファーレ立川」が始まった1994年、ぼくは大学生でした。ある平日の昼下がり、のろのろと起きてきたぼくに、母親が目を輝かせて、「パブリックアートって知ってる? 立川にね、ファーレっていう面白い場所ができたの」と言いました。母親は市民講座に参加していて、立川に行って驚き、世界各地でのパブリックアートを学びました。そのときほとんど関心なく、ただ眠い目をこすっていた自分が、30年後に立川市の一員になったのは偶然のことなのでしょうか。